脳の血流改善が治療の鍵|一度きりの人生を明るく生きよう!うつ病の恐怖と闘う現代人へ告ぐ

一度きりの人生を明るく生きよう!うつ病の恐怖と闘う現代人へ告ぐ

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脳の血流改善が治療の鍵

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脳内バランスの回復方法

100年以上前に精神医学が始まった頃は、わずか2つの病気しか認識されていませんでした。現在は統合失調症の病名に改められた精神分裂病と、双極性障害の病名が一般的となった躁鬱病の2種類です。うつ病の存在も早くから知られていましたが、当時は躁うつ病の一種と見なされていたのです。今はうつ病と双極性障害はまったく異なる病気として扱われ、治療法も決して同じではありません。いずれも発症プロセスにはよくわからない部分が多かった反面、よく効く薬が次々と開発されました。気分の波が激しい双極性障害には、気分安定剤が高い効果を発揮します。うつ状態が長く続くうつ病では治療に抗うつ薬が欠かせませんでした。セロトニンやノルアドレナリンといった脳内神経伝達の低下がうつ状態に陥る主な原因と見られており、薬でこの状態を改善させるのです。その後さらに研究が進み、うつ病患者の脳の詳しい状態もわかってきました。セロトニンなどの減少はこの病気の一面を示しているに過ぎないとも言われています。症状が進んだ患者さんの脳では、ドーパミンやメラトニンも含めた脳内物質の分泌量が全体として減少傾向にあります。記憶を司る海馬という部分の萎縮が見られるケースも少なくありません。精神科の病院で普及が進む光トポグラフィー検査では、脳の血流を測定することでそれぞれの病気に特徴的なパターンを読み取ります。うつ病患者の例では前頭葉などに顕著な血流低下が見られる一方で、逆に血流が異常に増えている部分も見られます。こうした脳内環境のバランスが全体として乱れることにより、一連の症状が発生しているとも考えられるのです。先進的な治療に取り組む病院では、機械で脳に直接刺激を与えて血流を改善させる治療法を実践しています。TMSとも呼ばれるこの新しい治療法は先進地のアメリカで高い治療実績を挙げており、次世代うつ病治療として世界の注目を集めています。

磁気の作用で脳を刺激

うつ磁気刺激治療とも呼ばれるTMSは、その名の通り磁気の刺激で脳の血流を促します。加えられる磁気の力は弱いため、副作用などもほとんどありません。従来の抗うつ薬では多かれ少なかれ副作用が出ていました。その点でTMSは患者さんへの負担を軽くする画期的な治療法ということができます。TMSを使ったうつ病治療は、主に前頭前野を磁気で刺激し本来の血流を回復させることを目的とします。脳の前頭前野と呼ばれる部分は判断や意欲・興味といった機能に重要な役割を果たしています。この部分の血流が低下すると、意欲がなくなって物事への興味を失ってしまいます。それはまさにうつ病の典型的な症状なのです。一方で前頭前野は、扁桃体に対しても指令を与えて機能を調節しています。扁桃体は感情を司る部分ですから、前頭前野の血流低下によって感情の働きに異常が生じると考えられます。扁桃体が暴走すると副腎に作用してストレスホルモンを分泌させ、体内にさまざまな影響を及ぼすことでも知られています。アメリカではTMSが国の認可を受けてうつ病治療の主流となっていますが、日本では現時点でまだ自由治療です。将来的には日本でも保険適用が認められる可能性も大いにあります。それだけTMSを実施している病院では高い治療成績を上げているのです。うつ病に長年苦しんできた患者さんでも症状が大きく改善した例があります。うつ病にもいろいろなタイプがあって、中には抗うつ薬に抵抗性を示す人もいるのです。以上のようにうつ病治療も近年は大きく進化してきています。脳科学の成果を取り入れた最新研究と、TMSや光トポグラフィー検査といった医療機器の登場でそれまでの常識が塗り替えられつつあるのです。薬で症状を抑える治療や心理療法なども含め、これからのうつ病治療は総合力が問われてきます。多くの治療選択肢を用意した病院ほど、うつ病を治すのに有利な条件が整っていると言えます。